新しい学びの場 “ アカリ ”
− まちづくり予算の活用により、公共施設を市民の憩いの場に −
桃、柿、りんごなど多くの農産物が収穫される福島県国見町は、福島県の中通り北部に位置する人口 約 8,500人( 2021年時)程度の小さなまちです。アカリは、そんな国見町で長年役場の倉庫として低利用状態だった公有不動産を、「学びの総合施設」をコンセプトに生まれ変わらせた公共施設再生事例です。
幅広いユーザーに対応する様々なスペースや、本場のシチリア料理レストランも入っている、素敵なコワーキングスペースとして再生しています。
このページでは、ご依頼から結果が出るまでの流れをご紹介いたします。
[ご相談内容]
国見町では、空き家の数は多いものの、活用に前向きな空き家は少なく、一般的な空き家再生によるまちづくりは難しい状況がありました。国見町役場の担当者である八島さんより、「震災から5年を迎え、まちの未来を考える時期になった。地方創生の担当として、行政が復興支援予算を使ってすべきことを模索している。一過性なプロモーションよりも、長期的にシビックプライドを醸成する計画に活用したい」というご依頼を受けました。
[戦略]
当初、国見町でも民間の不動産オーナーを探すためのアクションを行いましたが、農家の空き家を賃貸にす流には規模も大きくそういう意識も低い状況や、商店街では高齢の店主が建物に居住中のため貸し出すことに難色を示されたりとなかなかうまく行きませんでした。そこで長年役場の書類や使わない備品などを保管していた駅前の公有不動産にに注目し、「学びの総合施設」として企画・提案しました。
また、事業を実施するため担い手の育成が必要であると考え、施設の活用・運営とまちづくりを担う家守会社のメンバー候補の発掘、育成、設立をサポートすると同時に、行政が家守会社に運営を任せるための公募要件づくりのアドバイスなどを行いました。
Case by case solution
01
まちづくり事業全体の推進アドバイザー
03
スクールの実施によるまちづくり会社の新設
02
活用する物件の選定と企画提案
04
民間事業者の公募要件等のアドバイス
総合プロデュースとマネジメントの体制図
[成果]
1.維持管理費のかかる負の資産から、稼げる公共不動産へ
アカリの建物は倉庫として利用されていた時は機械警備費用や電気代など、毎年維持費がかかり町役場としても課題を抱えていました。パブリックマインドを持つ民間事業者が借り上げて運営を行い民間運営の公共的な施設へと活用されることで国見町に賃料収入が入ることになり、財政的にプラスの施設に生まれ変わりました。
2.スクールの実施や設立サポートにより、まちづくり会社「家守舎 桃ノ音」が発足
家守事業者育成のためのワークショップの実施を通して、元公務員の上神田さんとイタリア料理人の渋谷さんを主体にまちづくり会社が発足。事業化のためのサポートを行いました。
収益化にも成功し、アカリの収益の中から、次の事業のための工事費に回し、堅実に事業を拡大しています。
3.子どもからお年寄りまでが集う、ミックスカルチャーの発信地へ
コワーキングスペースや本場のシチリア料理レストランも入っている「学びの総合施設」として再生。
この学びの場を起点に、シチリアの話題に詳しいおじいちゃんおばあちゃんがいたりと、福島県の最北端にある国見町とイタリアのミックスカルチャーという面白い文化が生まれています。行政が支援する学習塾が開催されたりして、国見町に住む中学生の約50% がアカリで勉強しています。
本プロジェクトの事業スキーム
アカリの運営開始によって目の前にある公園でのマルシェの開催や、次なるプロジェクトとして町営住宅の大坂住宅のリノベーションプロジェクトも進行中です。